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TOPICS 脳神経外科学
神経膠腫の分子診断
-――最新の動向
Update findings of molecular diagnosis for diffuse glioma
秦 暢宏
1
Nobuhiro HATA
1
1大分大学医学部脳神経外科
pp.1036-1037
発行日 2023年9月23日
Published Date 2023/9/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu286131036
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神経膠腫WHO分類の変遷:分子診断の導入
神経膠腫は原発性脳腫瘍の30%程度を占める代表的な悪性脳腫瘍であるが,以前は神経膠細胞(グリア細胞)に由来する腫瘍群という体系で分類されていた.しかし2000年代後半以降に,パラダイムシフトとなる遺伝子変異の報告が相次いだことで,神経膠腫の発生系統に対する理解が大幅に変遷し,WHO脳腫瘍分類改訂第4版(WHO2016)の改訂で分子分類を統合した診断名が正式に採用された.現在,成人の神経膠腫は,①IDH変異のみを有するびまん性星細胞腫,②IDH変異と1p19q共欠失を有する乏突起膠腫,③IDH変異がない膠芽腫,の3系統に分類する考え方が基本となっている.その後もTERTやCDKN2Aといった遺伝子の診断的意義も追加され,WHO脳腫瘍分類第5版(WHO2021)でさらに改訂されている.BRAF遺伝子など分子標的薬の適応を担保する遺伝子異常も含まれており,分子診断の必要性が広く認識されるようになってきた.
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