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特集 覚醒下手術の最前線――臨床的意義と神経科学
高次脳機能を温存する覚醒下手術
-――臨床的意義と神経科学
Awake surgery to preserve higher cognitive function
中田 光俊
1
Mitsutoshi NAKADA
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系 脳・脊髄機能制御学
キーワード:
高次脳機能
,
視空間認知機能
,
作業記憶
,
脳可塑性
Keyword:
高次脳機能
,
視空間認知機能
,
作業記憶
,
脳可塑性
pp.714-717
発行日 2023年8月26日
Published Date 2023/8/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28609714
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覚醒下手術では,基本的に運動・言語機能が温存対象となるが,術後のQOLを維持するには,さらに高次の脳機能の温存が必須となる.ただし,現時点では高次脳機能を温存する覚醒下手術の有用性に関するエビデンスは少ない.また,高次脳機能の術後回復については個人差も大きく,不明な点も多い.広い神経ネットワークを有する注意機能,社会的認知機能,遂行機能は,脳局所の障害では一過性の症状をきたすにとどまり,慢性期には回復する場合が多い.一方,視空間認知機能,作業記憶の障害は後遺することがあるため,術中に温存すべき機能と考える.線分二等分テスト,2-backテストがそれぞれ術中タスクとして有用である.今後,高次脳機能モニタリングは,脳の理解とともに洗練され,広く普及すると推測する.神経科学の観点からは,本手術法はヒト高次脳機能ネットワークの知見を集積させ,未踏のヒト脳機能の解明に貢献するであろう.
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