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増大特集 新・リハビリテーション技術
総論―評価・診断・治療・他
診断
脳磁図による高次脳機能障害診断
Diagnosis of higher brain dysfunction With MEG.
西谷 信之
1
Nobuyuki Nishitani
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所感覚機能系障害研究部感覚認知障害研究室
1Cognitive Sciences Section, Department of Sensory & Communicative Disorders, Research Institute, National Rehabilitation Center for the Disabled
キーワード:
脳磁図
,
MEG
,
高次脳機能
Keyword:
脳磁図
,
MEG
,
高次脳機能
pp.1019-1024
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109898
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はじめに
「高次」脳機能およびその障害としては,記憶や言語等の機能とその障害が一般的に挙げられる.また失行や失認は複雑に構成された運動や感覚機構の「高次」の障害の一つと考えられる.しかし,これらは学習された対象の操作,思考,算術計算等々を構成する基礎的な脳内の処理過程である.われわれの中枢神経系機能のすべてを,「高次」と「低次」に明確に区別し定義できるわけではない.そこで本稿では,視聴覚・体性感覚等の刺激に“最初”に応答する一次感覚野や,それに対する出力に関係する一次運動野を「低次」とし,それぞれの一次野からの基礎的な処理過程を経た情報を統合する機能を「高次」と区別する.
これまで,一般に言われている「高次」脳機能は,脳病変・損傷に伴う症状との対比により,脳部位とその機能に関して,概念的に理解されてきた.しかし,近年の技術革新により,関連する脳内機構と病態が,次第に明らかにされつつある.
脳機能解明の手段として,SPECT,PETや硬膜外電極記録法等の侵襲的手法,および頭皮上脳波,脳磁場(magnetoencephalography;MEG)や機能的MRI等の非侵襲的手法が用いられている.そしてこれらの手法を駆使し,高次脳機能の評価・診断,ならびにリハビリテーションによる脳機能の客観的な評価が可能となりつつある.本稿では「高次」脳機能の評価とMEGによる診断への応用を紹介する.各高次脳機能の詳細はそれぞれ成書を参照されたい.
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