Japanese
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第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
分子病態
ドパミン受容体を標的とした統合失調症治療薬
-――構造生物学からの洞察
Targeting dopamine receptors for schizophrenia
――Insights from structural biology
林 到炫
1
,
岩田 想
1
Dohyun IM
1
,
So IWATA
1
1京都大学大学院医学研究科分子細胞情報学
キーワード:
ドパミン受容体
,
統合失調症
,
Gタンパク質共役受容体(GPCR)
,
X線結晶構造解析法
,
クライオ電子顕微鏡法(Cryo-EM)
Keyword:
ドパミン受容体
,
統合失調症
,
Gタンパク質共役受容体(GPCR)
,
X線結晶構造解析法
,
クライオ電子顕微鏡法(Cryo-EM)
pp.537-543
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606537
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統合失調症やパーキンソン病などの中枢神経疾患で苦しむ人の数は年々増加しており,深刻な社会問題になっている.これらの疾患は脳内のドパミン神経の不具合により生じることが知られている.そのため,ドパミン受容体の研究は中枢神経疾患の理解やその治療薬開発のために重要である.近年の構造生物学分野における解析技術の進歩はドパミン受容体をはじめとするGタンパク質共役受容体(GPCR)の構造解明を加速させており,受容体の原子レベルでの高分解能解析が可能になった.筆者らは,抗精神病薬のスピペロンが結合したドパミンD2受容体(D2R)の構造を明らかにし,薬剤の拮抗作用機序を解釈した.本稿では,ドパミン受容体の構造を洞察し,ドパミン受容体と統合失調症,またその治療薬について構造生物学的な観点から議論する.また,ドパミン受容体の構造生物学研究によって得られた知見を有効に活用し,新しい統合失調症治療薬の開発を期待する.
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