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特集 ヒト細胞アトラスプロジェクトの現在地
シングルセル情報とゲノム情報の統合解析によるCOVID-19重症化メカニズムの解明
Elucidating the mechanism of COVID-19 severity by integrated analysis of single-cell and host genetics data
枝廣 龍哉
1,2
,
熊ノ郷 淳
2
,
岡田 随象
1,3,4
Ryuya EDAHIRO
1,2
,
Atsushi KUMANOGOH
2
,
Yukinori OKADA
1,3,4
1大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学
2同呼吸器・免疫内科学
3東京大学大学院医学系研究科遺伝情報学
4理化学研究所生命医科学研究センターシステム遺伝学チーム
キーワード:
シングルセル解析
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
expression quantitative trait loci(eQTL)
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
Keyword:
シングルセル解析
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
expression quantitative trait loci(eQTL)
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
pp.213-218
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28603213
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筆者らは,日本人新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者と健常人由来の末梢血単核細胞(PBMC)を用いたシングルセル解析とともに,宿主ゲノム情報との統合解析を実施した.網羅的なシングルセルトランスクリプトーム解析により,単球中の希少細胞種であるCD14+CD16++単球(ncMono)がCOVID-19の重症化に深く関与していることを見出した.またCOVID-19ゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果とシングルセルデータを統合解析することにより,COVID-19重症化関連遺伝子が単球や樹状細胞で特異的に高発現していることが明らかとなった.さらに,COVID-19関連遺伝子多型のexpression quantitative trait loci(eQTL)解析により,Ⅰ型インターフェロンに関わる遺伝子であるIFNAR2遺伝子多型(rs13050728)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染状況下かつ単球特異的にeQTL効果を有することがわかった.シングルセルデータと宿主ゲノム情報の統合解析(GWAS統計量との統合解析,シングルセルeQTL解析)は,病態解明への強力な手法であることが示されたとともに,創薬や遺伝子多型に基づく個別化医療に貢献する可能性が示唆された.
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