綜説
ポリオワクチンのその後
甲野 礼作
1
1国立公衆衛生院衛生微生物学部
pp.7-13
発行日 1956年5月15日
Published Date 1956/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201675
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まえがき
1954年に参加人員百万人以上に及ぶ大規模な野外実験が行われ,急性灰白髄炎(以下ポリオと略す)に対するソークワクチンの予防効果が確認された旨,公式の発表が行われたのは昨年の4月14日のことであつた。従来医学上の発表でこれ程世界的なセンセーシヨンをひき起した事件はないと言われる。アメリカにおいては1954年度の成績に基いて1955年度は更に大規模な予防接種が行われ,一方ソークワクチンを希望する外国に対しては,これを配布する用意がある旨のアイゼンハウアー大統領の発表が行われた,
しかるに,その発表から僅か1月も経たぬうちに,ソークワクチンの接種をうけた子供の間から,ワクチンに起因すると思われるポリオが発生し,一種のパニツクを現出したのは,最初の発表が華々しかつただけにアメリカ人は勿論われわれ外国人の関心をもいやが上にも高めずにはおかなかつた。
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