Japanese
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第1土曜特集 自律神経のサイエンス
多岐にわたる自律神経の役割
自律神経と排尿機能
Autonomous nerval control for voiding/storage function
朝倉 博孝
1
,
篠島 利明
1
Hirotaka ASAKURA
1
,
Toshiaki SHINOJIMA
1
1埼玉医科大学病院泌尿器科,同診療センター女性ヘルケアセンター
キーワード:
自律神経
,
橋排尿中枢(PMC)
,
中脳水道周囲灰白質(PAG)
,
仙髄排尿中枢
,
神経因性膀胱
Keyword:
自律神経
,
橋排尿中枢(PMC)
,
中脳水道周囲灰白質(PAG)
,
仙髄排尿中枢
,
神経因性膀胱
pp.623-628
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506623
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蓄尿・排尿機能は,自律神経と体性神経である陰部神経により制御されている.排尿・蓄尿の重要な部位は橋排尿中枢(PMC)で,中脳水道周囲灰白質(PAG)とともに脳幹スイッチを形成し,排尿開始の発火点となる.蓄尿時は,大脳皮質・PAGからのシグナルによりPMCは活性化していない.膀胱の蓄尿状態の知覚情報が伝えられ,大脳辺縁系において安全で社会的に問題なく排尿できると判断されると,PMCは活性化し(脳幹スイッチオン),排尿開始のプロセスがスタートする.遠心性シグナルがPMCより仙髄排尿中枢(S2~4)へ遠心性情報が伝達され,骨盤神経を介して排尿筋が収縮,体性神経である陰部神経を介して外尿道括約筋が弛緩し排尿が開始する.神経因膀胱は,中枢神経・末梢神経の障害される部位によりさまざまな下部尿路症状を呈する.従って,神経障害部位を見出す局所診断が重要である.神経系や骨盤腔臓器の解剖に留意した診断,さらに認知症のことも念頭に入れて診断作業を進める.尿流動態検査により客観的に下部尿路機能を評価し,病態を把握する.正確な診断に基づき,行動療法,薬物療法などの治療プランを作成する.
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