Japanese
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第1土曜特集 自律神経のサイエンス
多岐にわたる自律神経の役割
睡眠と自律神経
The role of the autonomic nervous system in sleep disorders
藤田 裕明
1
,
鈴木 圭輔
1
Hiroaki FUJITA
1
,
Keisuke SUZUKI
1
1獨協医科大学脳神経内科
キーワード:
自律神経障害
,
睡眠時無呼吸症候群
,
ナルコレプシー
,
レム睡眠行動異常症(RBD)
,
レストレスレッグス症候群(RLS)
Keyword:
自律神経障害
,
睡眠時無呼吸症候群
,
ナルコレプシー
,
レム睡眠行動異常症(RBD)
,
レストレスレッグス症候群(RLS)
pp.617-622
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506617
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自律神経活動は睡眠中,特にレム睡眠中に劇的に変化する.さまざまな睡眠障害や神経疾患が自律神経障害と関連し,自律神経の機能障害はさまざまな経路で心血管系に悪影響を及ぼす.閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は,胸腔内圧の陰圧化の増大による圧受容器の刺激や低酸素血症による化学受容器の刺激を介して,交感神経の緊張増加と迷走神経の緊張低下をきたす.レム睡眠行動異常症(RBD)は消化器系,心血管系,泌尿器系などに多くの自律神経症状を呈し,一部はパーキンソン病と同等程度の異常がみられる.ナルコレプシーは視床下部外側野の障害による摂食行動や胃酸分泌の異常,交感神経活性化の障害による血圧変動がみられる.レストレスレッグス症候群(RLS)は視床下部ドパミン神経A11の脊髄への抑制性投射の障害が交感神経を活性化し,血圧変動がみられるほか,脳内グルタミン酸過剰や高率に合併する周期性四肢運動(PLMS)による頻回の覚醒,交感神経活性化による血圧上昇をきたす.睡眠と自律神経系には密接な関係があり,睡眠障害の治療が血圧変動をはじめとした自律神経症状の改善やその後の心血管イベントの抑制につながる可能性もあるが,さらなる検討が必要である.
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