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第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
実用化に向けた遺伝子治療技術
腫瘍溶解性ウイルス
Oncolytic virus
中村 貴史
1
Takafumi NAKAMURA
1
1鳥取大学医学部医学科ゲノム再生医学講座分子医学分野
キーワード:
がん
,
ウイルス
,
遺伝子組換え
,
腫瘍溶解
,
抗腫瘍免疫
Keyword:
がん
,
ウイルス
,
遺伝子組換え
,
腫瘍溶解
,
抗腫瘍免疫
pp.370-377
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505370
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腫瘍溶解性ウイルスを使った新しいがん遺伝子治療である “ウイルス療法” とは,感染した細胞・組織内で増殖伝播しながら,それらを死滅させるウイルス本来の性質をがん治療に利用する方法である.わが国でも1900年代よりムンプスウイルスなどを使って試みられていたが,当時は野生型に近いウイルスをがん患者に投与していた.その後,遺伝子工学技術の進歩によって,ウイルスが元来持っている正常組織に対する病原性を排除し,ウイルスをがん細胞だけで増殖させる方法が確立され,がんのみを標的破壊することが可能になった.世界中でさまざまな腫瘍溶解性ウイルスを用いて,広範な難治性がん患者を対象にその安全性と効果を調べるための臨床試験が行われている.ウイルス療法では,ウイルス増殖による直接的ながん細胞の破壊に加え,それに伴って抗腫瘍免疫が賦活化され,全身に治療効果を及ぼすことが明らかになり,先進国において承認薬が誕生している.
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