海外事情
ウクライナ支援—リハビリテーションの視点から
河野 眞
1
Makoto Kono
1
1国際医療福祉大学
pp.1138-1139
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590101138
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日本大使館の指示でスマートフォンにインストールした空襲警報アプリは,目的地のウクライナ・ミコライウから遠く離れたモルドバ共和国の首都キシナウにいるときから,すでにけたたましく鳴りはじめていた.招聘団体の現地スタッフに問うと,ロシアによるミサイルやドローンの攻撃に反応しているだけで,もちろん隣国モルドバに空襲の危険はないという.それを聞いて安心する一方,これからウクライナに入国した後,はたしてどれほどの頻度で鳴り響く空襲警報に対応しなくてはならないのかと心配になった.
外務省の委託事業として特定非営利活動法人難民を助ける会(Association for Aid and Relief, Japan:AAR Japan)が実施するウクライナ支援事業に,筆者は2025年5月,リハビリテーション分野の外部専門家として参加した.ウクライナでの滞在期間はわずか4日という,きわめて短い活動ではあったが,日本の作業療法士がロシア侵攻以降のウクライナで支援活動に携わった例は稀であることから,今回このような報告の機会をいただくこととなった.なお,日本の理学療法士としては,日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院の中島久元氏がすでに複数回,しかも1回当たり数カ月以上の期間にわたって現地での支援活動に従事しており,学会発表等も行われている.関心のある方はこちらもご参照いただきたい.
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