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特集 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)研究における最新知見――感染経路,病態,予防,治療
抗ウイルス薬ファビピラビルとSFTS
Favipiravir, a novel antiviral drug, against severe fever with thrombocytopenia syndrome
末盛 浩一郎
1
,
西條 政幸
2
,
安川 正貴
3
Koichiro SUEMORI
1
,
Masayuki SAIJO
2
,
Masaki YASUKAWA
3
1愛媛大学大学院医学系研究科血液・免疫・感染症内科学
2札幌市保健福祉局保健所医療政策部
3愛媛県立医療技術大学
キーワード:
ファビピラビル
,
抗ウイルス薬
,
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
Keyword:
ファビピラビル
,
抗ウイルス薬
,
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
pp.133-136
発行日 2023年1月14日
Published Date 2023/1/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28402133
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近年,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などにより重要性が再認識されている新興感染症の多くはウイルス感染症であり,重症熱性血小板減少症候群(SFTS)もそのひとつである.感染症治療の基本は,原因となる病原微生物をつきとめ,対症療法に加えて,その病原体の増殖を抑制する抗微生物薬を投与することである.SFTSは局地的な感染症であることに加え希少疾患であるが,ウイルス性出血熱に加えられるべき致死率のとても高い感染症であり,接触感染でヒト/愛玩動物-ヒト感染もありうるため,治療薬開発が急務である.ファビピラビルは条件付きではあるものの,“新型または再興型インフルエンザウイルス感染症” に対し国内で承認された抗ウイルス薬である.オルソミクソウイルス,ブニヤウイルス,アレナウイルス,フィロウイルスだけでなくSFTSウイルス(SFTSV)に対しても抗ウイルス活性を示し,実臨床での有用性が期待されている.筆者らは,わが国でSFTSに対するファビピラビルの医師主導型臨床試験を行った.本稿ではその成果を紹介するとともに,海外の臨床試験の結果とあわせて,SFTSに対するファビピラビルの治療効果に関する現況を概説する.
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