Japanese
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特集 クライオ電顕が解き明かす神経変性疾患のメカニズム
クライオ電子線トモグラフィ法を用いた神経変性疾患の病態解明
Understanding the pathogenesis of neurodegenerative diseases by cryo-electron tomography
樽谷 愛理
1,2
,
Rubén Fernández-Busnadiego
1
Airi TARUTANI
1,2
,
Rubén FERNÁNDEZ-BUSNADIEGO
1
1University Medical Center Göttingen, Institute of Neuropathology, Structural Cell Biology Research Group
2公益財団法人東京都医学総合研究所脳・神経科学研究分野認知症プロジェクト
1University Medical Center Göttingen, Institute of Neuropathology, Structural Cell Biology Research Group
キーワード:
神経変性疾患
,
タンパク質凝集
,
クライオ電子顕微鏡
,
クライオ電子線トモグラフィ(cryoET)
,
in situ構造生物学
Keyword:
神経変性疾患
,
タンパク質凝集
,
クライオ電子顕微鏡
,
クライオ電子線トモグラフィ(cryoET)
,
in situ構造生物学
pp.1150-1154
発行日 2022年12月24日
Published Date 2022/12/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283131150
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疾患を定義づけるタンパク質からなる細胞内封入体の形成は,多くの神経変性疾患に共通する病理学的特徴である.線維化した病因タンパク質の細胞内凝集および蓄積は,神経変性疾患の発症や進行に関与すると考えられるが,そのメカニズムおよび細胞毒性や神経変性との関連はまだ十分に理解されていない.クライオ電子線トモグラフィ(cryoET)は,細胞内部を生体内に限りなく近い状態で可視化できる手法であり,封入体形成に伴う細胞内環境の変化が観察可能である.現在までに,神経細胞内に蓄積するポリグルタミン鎖(PolyQ),PolyGA,TDP-43(Tar DNA binding protein 43)およびαシヌクレイン(α-syn)凝集体の三次元イメージングが報告されている.これら病因タンパク質は,タンパク質ごとに異なる凝集体形成およびそれに伴う不均一な細胞内動態を引き起こした.今後もこの手法を用いた神経変性疾患の病態解明が期待される.
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