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第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
さまざまな生命現象と細胞死
パイロトーシスによる自然炎症とその制御
-――オルガネラを標的とする新たな抗炎症薬の開発
Sterile inflammation driven by pyroptosis and its regulation
――Development of new anti-inflammatory drugs targeting organelles
武村 直紀
1
,
齊藤 達哉
1
Naoki TAKEMURA
1
,
Tatsuya SAITOH
1
1大阪大学大学院薬学研究科生体応答制御学分野
キーワード:
自然炎症
,
パイロトーシス
,
NLRP3インフラマソーム
,
オルガネラ
Keyword:
自然炎症
,
パイロトーシス
,
NLRP3インフラマソーム
,
オルガネラ
pp.455-462
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305455
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細胞死が果たす生理学的役割は多岐にわたるが,そのうちのひとつに細菌やウイルスなどの病原体から身体を守る,すなわち免疫応答としての役割がある.病原体に感染した細胞では,ミトコンドリアやリソソームなどの細胞小器官(オルガネラ)が機能不全に陥ることでストレスシグナルが生じ,細胞死が誘導される.また,細胞死が起きると同時に細胞内の炎症性サイトカインが放出される場合がある.このような炎症応答の誘導を伴う細胞死はパイロトーシスとよばれ,病源体が増殖するための細胞という場を奪うとともに,病原体を排除する白血球を誘致することで,感染拡大を防ぐ.一方で,パイロトーシスは非感染性の要因によっても誘導され,重篤な疾患の引き金になることがわかってきている.本稿では,パイロトーシスが起因となる非感染性の炎症応答(自然炎症)の概要と,オルガネラを標的にして当該応答を防ぐ新たな抗炎症薬の開発について,筆者らの研究を交えながら紹介したい.
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