Japanese
English
第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
さまざまな生命現象と細胞死
自己免疫と細胞死
Autoimmune diseases and cell death
鍔田 武志
1
Takeshi TSUBATA
1
1日本大学歯学部病理学講座
キーワード:
Damage-associated molecular patterns(DAMPs)
,
ネトーシス(NETosis)
,
全身性エリテマトーデス(SLE)
,
CD72
,
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎
Keyword:
Damage-associated molecular patterns(DAMPs)
,
ネトーシス(NETosis)
,
全身性エリテマトーデス(SLE)
,
CD72
,
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎
pp.448-454
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305448
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ネクローシス性細胞死では,damage-associated molecular patterns(DAMPs)と総称される免疫細胞を活性化する種々の細胞内分子が放出される.DAMPsへの応答は感染防御など生体防御に関わるが,核酸を含んだDAMPsはBリンパ球を活性化し,DAMPsへの自己抗体産生を誘導する.全身性エリテマトーデス(SLE)では種々の核内抗原への自己抗体産生が起こるが,Sm/RNPなどのRNAを含む自己抗原は,RNAによるB細胞活性化によりSm/RNPなどへの自己抗体産生を誘導し,SLE発症に関わる.また,好中球に特徴的なネクローシス性細胞死であるネトーシス(NETosis)では,ミエロペルオキシダーゼ(MPO)などの好中球顆粒分子がクロマチンに付着したneutrophil extracellular traps(NETs)が放出される.NETsはMPOなどへの抗好中球細胞質抗体(ANCA)の産生を誘導し,ANCA関連血管炎発症を誘導する.一方,Bリンパ球はSm/RNPを認識する抑制性受容体CD72を発現し,CD72がSm/RNPを認識してB細胞活性化を抑制することでSm/RNPへの自己抗体産生を抑制し,さらにSLE発症を抑制する.このように,死細胞に由来するDAMPsへの免疫応答とその抑制を介した,自己免疫疾患の発症と自己寛容の維持の仕組みが明らかとなっている.
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