Japanese
English
連載 人工臓器の最前線・vol.3
光電変換色素薄膜型の人工網膜OUReP(オーレップ)
Photoelectric dye-based retinal prosthesis(OUReP)
松尾 俊彦
1
,
内田 哲也
2
,
石金 浩史
3
Toshihiko MATSUO
1
,
Tetsuya UCHIDA
2
,
Hiroshi ISHIKANE
3
1岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域/岡山大学病院眼科
2同自然科学学域/工学部高分子材料学分野
3専修大学人間科学部心理学科/大学院心理学専攻
キーワード:
人工網膜
,
光電変換色素
,
医師主導治験
,
網膜活動電位
,
製造品質管理
Keyword:
人工網膜
,
光電変換色素
,
医師主導治験
,
網膜活動電位
,
製造品質管理
pp.304-312
発行日 2022年7月23日
Published Date 2022/7/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28204304
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
□網膜色素変性や加齢黄斑変性では,光を感知して細胞膜電位に変換する網膜の視細胞が死んでいるが,視神経として脳に連絡する神経節細胞は生き残っている.人工網膜は視細胞を代替する人工物で,光を受けて電流を出力する電極アレイ型が主流であるが,電流は拡散するため解像度を向上させることが難しい.
□人工網膜の解像度を向上させるため,光を電位差に変換する光電変換色素分子を絶縁体のポリエチレン薄膜表面に共有結合した光電変換色素薄膜型の人工網膜OUReP(オーレップ)を世界ではじめて開発した.この人工網膜OURePは光受容と電位出力の一体型で,薄膜をハサミで切って眼内に植込む大きさを自由に選べる.使い捨てのインジェクターを使って薄膜を丸め,硝子体手術で眼球の網膜下に植込むと,人工網膜OURePは光を受けて電位差を出力し,隣接する網膜組織の神経細胞の活動電位を誘発する.現在,クリーンルームで製造品質管理を行い,安全性と有効性を証明して,医師主導治験を準備している.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.