Japanese
English
TOPICS 消化器外科学
ロタウイルス感染症と胆道閉鎖症
Rotavirus infection and biliary atresia
小坂 太一郎
1
,
江口 晋
1
Taiichiro KOSAKA
1
,
Susumu EGUCHI
1
1長崎大学大学院医歯薬総合研究科移植・消化器外科
pp.226-227
発行日 2022年7月16日
Published Date 2022/7/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28203226
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胆道閉鎖症の発症機序の検討
胆道閉鎖症は,肝外胆管の進行性線維性閉塞を特徴とする新生児,乳児期の疾患である.発生頻度は10,000出生に1例程度とされ,肝外胆管切除+肝門部空腸吻合術(通称 葛西手術)が奏効しなければ,胆汁うっ滞性肝硬変を呈し,肝移植を余儀なくされる重篤な疾患である.現在,本症の成因としては,可能性が高いとされるものがいくつか存在する.先天性発症例に関しては,他の先天異常を合併する症例もあることから,肝外胆管の形成異常が原因とされている一方,出生後に発症する症例に関しては,肝外胆管の炎症とそれによる線維性閉塞が原因とされる.その炎症/線維化の原因は,感染からMaternal microchimerizmによるGVHD説までさまざまなものが検討されている.当科では,細菌感染と先天性胆道疾患との関連について検討を行っている.胆道閉鎖症と発症機序が近いとされている先天性胆道拡張症において,Helicobacter属菌であるHelicobacter Bilisが,その発症機序と若年胆道発癌に関与していることを示唆し,胆道閉鎖症においても,関連の有無に関して研究を継続している1).今回は胆道閉鎖症の発症機序として注目される胆道感染症,そのなかでも近年注目されているロタウイルス感染症の関連に関して紹介する.
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