特集 ノロウイルス―ウイルス性下痢症
その他のウイルス性下痢症の集団発生事例
1.ロタウイルス感染症
葛谷 光隆
1
1岡山県環境保健センターウイルス科
pp.991-993
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101204
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ロタウイルス(rotavirus)はレオウイルス科に属する2本鎖のRNAを遺伝子として持つウイルスであり,ヒトおよび動物の重要な胃腸炎起因ウイルスとして知られている1).ウイルス粒子は二重の殻(内殻および外殻)で構成されており,内殻蛋白の抗原性やウイルス遺伝子の違いによりA~Gの7群に分類されている.これらのうち,ヒトに病原性を有するのはA,BおよびC群である1).
A群ロタウイルス(ARV)は小児胃腸炎の主要な病原体であり,わが国における患者数は年間約80万人に及ぶと推定されている2).また,低頻度ながら成人にも胃腸炎を起こすことが知られており,それらが施設内集団発生例として近年報告されている.ARVは外殻蛋白の抗原性に基づいて14種類の血清型に分類されているが,そのうちヒトから検出される頻度が高いのは,1~4型および9型である1).
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