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第1土曜特集 不眠症──研究・診療の最新知識
不眠関連疾患
自殺と不眠
The association between suicide and insomnia
内海 智博
1
,
栗山 健一
1
Tomohiro UTSUMI
1
,
Kenichi KURIYAMA
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
キーワード:
自殺
,
不眠
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
自殺の対人関係理論
,
視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)
Keyword:
自殺
,
不眠
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
自殺の対人関係理論
,
視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)
pp.1007-1013
発行日 2022年6月4日
Published Date 2022/6/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281101007
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日本における自殺者数は2009年以降減少傾向が続いていたものの,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がはじまった2020年度からは一転増加傾向にある.自殺には多様かつ複合的な原因や背景が連鎖をしており,不眠はその連鎖のなかで重要な症候であることが示唆されている.疫学的研究から,不眠は若年者から高齢者まで幅広く,自殺関連事象の自殺念慮,自殺企図,自殺既遂のいずれのリスクになることが示唆されている.その心理機序として,不眠は “自殺の対人関係理論” における①所属感の減弱,②負担感の知覚,③身についた自殺潜在能力,のいずれにも関連し自殺に影響する可能性が示唆される.生理機序として,視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)の亢進と不眠,自殺関連行動が関係している可能性がある.COVID-19下においても,不眠はこの心理機序と関連し自殺に促進的に働く可能性が示唆される.不眠に対して適切にアプローチをすることにより,自殺の予防に貢献する可能性が示唆される.
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