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第1土曜特集 不眠症──研究・診療の最新知識
不眠症の病態仮説
過覚醒と慢性不眠障害
Hyperarousal and chronic insomnia disorder
田ヶ谷 浩邦
1
Hirokuni TAGAYA
1
1北里大学医療衛生学部保健衛生学科精神保健学研究室
キーワード:
神経認知科学モデル
,
過覚醒
,
視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA axis)
,
交感神経-副腎髄質系(交感神経系)
,
客観的な短時間睡眠を呈する不眠症(ISS)
Keyword:
神経認知科学モデル
,
過覚醒
,
視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA axis)
,
交感神経-副腎髄質系(交感神経系)
,
客観的な短時間睡眠を呈する不眠症(ISS)
pp.952-955
発行日 2022年6月4日
Published Date 2022/6/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28110952
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不眠症患者では,さまざまな生理指標の過剰活動がみられる.1997年にBonnetらは,不眠症患者では複数の系の過覚醒が,さまざまな要因に過剰に反応して一過性不眠を引き起こし,古典的条件付けによって不眠を慢性化するとともに,不眠を悪化させる行動を学習させ,認知の障害(不眠の過大評価,睡眠の過小評価),精神症状(不安,意欲低下,イライラ,気分低下,遂行能力低下など),身体症状(倦怠,眠気など)を引き起こしているとする説(神経認知科学モデル)を提唱した.近年では,慢性不眠障害の病態は単一ではなく,多元的な要因が影響しており,慢性不眠障害は複数の疾患群からなり,それぞれ要因の影響も異なると考えられるようになった.慢性不眠障害の表現型のひとつとしてISS(客観的な短時間睡眠を呈する不眠症)が近年注目されており,神経認知科学モデルと一致する表現型であると考えられている.
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