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特集 腫瘍と糖鎖――糖鎖の基礎研究から腫瘍の分子標的同定に向けて
N-結合型糖鎖による細胞接着と上皮間葉転換(EMT)の制御
Regulation of cell adhesion and EMT by N-glycosylation
顧 建国
1
Jianguo GU
1
1東北医科薬科大学分子生体膜研究所細胞制御学教室
キーワード:
インテグリン
,
N-結合型糖鎖(N-型糖鎖)
,
E-カドヘリン
,
上皮間葉転換(EMT)
Keyword:
インテグリン
,
N-結合型糖鎖(N-型糖鎖)
,
E-カドヘリン
,
上皮間葉転換(EMT)
pp.876-880
発行日 2022年5月28日
Published Date 2022/5/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28109876
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真核生物では,生合成されたタンパク質は細胞内で修飾およびプロセッシングを受けてはじめて機能を発揮するようになる.そのため,多くの生命現象を分子レベルで理解するためにはゲノム中心の研究だけでは不十分であり,これを補完する細胞内翻訳後修飾の研究が重要である.タンパク質の翻訳後修飾のなかでも糖鎖修飾はその構造的多様性からさまざまな生物学的プロセスに関与すると考えられている.たとえば,細胞接着分子に付加される糖鎖は,細胞接着,細胞間認識や細胞内シグナル伝達といった細胞機能に密接に関わっていることが明らかになりつつある.本稿では,N-結合型糖鎖(N-型糖鎖)による細胞-細胞外マトリックス(ECM)間の接着をつかさどるインテグリンや細胞-細胞間の接着に最も重要な分子のひとつであるE-カドヘリンの機能制御と,個体発生の過程で器官形成に重要な役割を果たす上皮間葉転換(EMT)における糖鎖の機能と調節を紹介する.
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