スコープ
施策の谷間
万歳 登茂子
1
1名古屋市総合リハビリテーションセンター
pp.77
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107784
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本来リハビリテーションはその本質より個々の障害者によって対応が種々異なるものであるし,また異なるべきである.一方,福祉制度にはある一定の枠があり,これは長所でもあるが短所ともいえる.ここで問題になるのが,障害があり福祉施策を受ける必要があるが.その障害の特殊性のため施策が活用できないケースがあることである.その一例が身体障害を合併しない高次脳機能障害者である.具体的には前交通動脈の動脈瘤破裂によるクモ膜下出血後遺症や,びまん性脳外傷後遺症である.
これらの疾患は運動障害が残存することは少なく,前頭葉症状や記憶障害や注意力障害といった高次脳機能障害が残存することが多い.そのために復職や復学が困難でリハビリテーションが必要となる.しかしこれらの高次脳機能障害に対するリハビリテーションはまだ一般化されておらず,十分に対応できる施設も少ない.復職においても障害者雇用に該当すれば職場の受け入れもよいが,そうでなく単に病後,事故後ということのみで復職するとトラブルが発生し,就労継続が困難となる.
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