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第1土曜特集 喘息の発症メカニズムと治療・管理
はじめに
Introduction
井上 博雅
1
Hiromasa INOUE
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
pp.1-1
発行日 2022年4月2日
Published Date 2022/4/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281011
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- Abstract 文献概要
気管支喘息は,気道の慢性炎症と気道過敏性亢進を本態とする疾患で,変動性の気道狭窄,喘鳴や咳などの臨床症状で特徴付けられる.喘息の気道炎症は,2型炎症(好酸球性)と非2型炎症に大別され,2型炎症の誘導には2型ヘルパーT細胞(Th2)と2型自然リンパ球(group 2 innate lymphoid cell:ILC2)から産生される2型サイトカインが重要な役割を担っている.このような喘息病態の解明とともに,2型炎症のメディエーターであるIL-4,IL-5,IL-13,IgEに対する抗体医薬が実臨床で利用可能となった.ILC2を標的とする薬剤の開発も進み,TSLP(thymic stromal lymphopoietin)に対する抗体薬も近々登場する.このような生物学的製剤の開発により,2型炎症を伴う重症喘息の治療は飛躍的に改善したが,それらが有効と考えられる群を対象にしても喘息増悪の抑制効果は約6割にとどまり,いまだにunmet medical needsは高い.
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