連載 ユニークな実験動物を用いた医学研究・Vol.12
N-NOSE:線虫を使ったがんの一次スクリーニング検査
上野 宜久
1
,
広津 崇亮
1
Yoshihisa UENO
1
,
Takaaki HIROTSU
1
1株式会社HIROTSUバイオサイエンス
キーワード:
C. elegans
,
がん
,
尿
,
スクリーニング
Keyword:
C. elegans
,
がん
,
尿
,
スクリーニング
pp.174-178
発行日 2022年1月8日
Published Date 2022/1/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28002174
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Summary
がんの早期発見には,より多くの人が一次スクリーニングに相当する検査を受けることが効果的と考えられる.一次スクリーニングの条件としては,手軽で安価,全身網羅的で高精度であることが望まれる.N-NOSEは1滴の尿に対する線虫C. elegansの走性を解析することで,がんリスクを判定する検査であり,高額な分析機器を必要としない.N-NOSEでは,15種以上のがん種に対して判定することができることがわかっている.既存の腫瘍マーカーと比較して,ステージ0-Ⅰの早期がんに対して高い感度を示す.以上から,N-NOSEは一次スクリーニングとして理想的な特性を備えたがん検査方法であると考えている.C. elegansは,分子生物学的手法で改良を加えることが可能なモデル生物である.危険ながんの早期発見に貢献すべく,さらなる改良を加えたN-NOSEの開発に取り組んでいる.
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