特集 宇宙医学研究の最先端
3.(2)線虫筋細胞の無重力応答と熱中症モデル研究
門間 健太
1
,
東谷 篤志
1
1東北大学大学院生命科学研究科生態システム生命科学専攻
キーワード:
宇宙飛行
,
C. elegans
,
熱中症
,
廃用性筋萎縮
,
ミトコンドリア
Keyword:
宇宙飛行
,
C. elegans
,
熱中症
,
廃用性筋萎縮
,
ミトコンドリア
pp.211-216
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000058
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長期宇宙滞在において,骨格筋の萎縮は克服しなければならない大きな課題である.モデル生物線虫Caenorhabditis elegans を用いた宇宙実験においても,微小重力が筋形成に負の影響を及ぼし,筋タンパク質に加えて細胞骨格,ミトコンドリア代謝酵素の遺伝子ならびにタンパク質発現レベルでの低下をきたすことが示された.また,静水圧をはじめとする環境や運動の変化に応答して,TGF-βシグナリングを介した筋とからだの発達が制御される.さらに,高温ストレスによる筋細胞の崩壊の分子メカニズムとして,筋小胞体からのCa2+ の過剰な流入,ミトコンドリアの断片化から機能不全,最終的に崩壊に至ることがわかり,ヒト熱中症における横紋筋融解症モデルとして利用できる.これら,われわれの最近の研究成果を中心に紹介する.
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