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連載 いま知っておきたい最新の臨床検査――身近な疾患を先端技術で診断・Vol.3
Nematode-NOSE:線虫の嗅覚によるがんの一次スクリーニング検査
Nematode-NOSE:The initial screening for cancer using Nematode olfactory system
羽立 薫
1
,
広津 崇亮
1
Kaoru HATATE
1
,
Takaaki HIROTSU
1
1株式会社HIROTSUバイオサイエンス
キーワード:
がん
,
線虫
,
スクリーニング
Keyword:
がん
,
線虫
,
スクリーニング
pp.247-251
発行日 2021年4月17日
Published Date 2021/4/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27703247
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◎がんの早期発見は,がんによる致死率やQOLの向上に必須である.高い画像診断技術を用いたがん種ごとの検査法は,費用や痛みや苦痛など患者に対する負担が大きいことから,わが国におけるがん検診の普及率は高くない.そのため,全身のがんを簡易的に早期発見することが可能な新たな “がんの一次スクリーニング検査” が期待される.筆者らの提唱するN-NOSEは線虫の嗅覚を利用し,患者の呼気や体液に存在するがん細胞由来の揮発性有機化合物を探知するがんの一次スクリーニング検査である.N-NOSEは線虫の鋭い嗅覚と,匂いに対する化学走性を利用し,がん患者の尿を用いて全身網羅的にがんのリスクを判定するまったく新しい検査法であり,他の腫瘍マーカーと比較して高い精度を有する.またステージにかかわらず早期のがんを識別できること,尿を利用するため検体採取の痛みがないこと,安価であることなど,利点の多い検査である.本稿ではがんの一次スクリーニングとしてのN-NOSEの有用性ならびに今後の展望を解説する.
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