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第1土曜特集 小児・AYAがんの最前線
骨肉腫の分子基盤の探求と標的治療の開発
Molecular biology of osteosarcoma and its targeted therapy
渡邉 健太郎
1
Kentaro WATANABE
1
1 東京大学大学院医学系研究科小児科
キーワード:
骨肉腫
,
ゲノム解析
,
発現解析
,
標的治療
Keyword:
骨肉腫
,
ゲノム解析
,
発現解析
,
標的治療
pp.81-85
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2800181
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骨肉腫の予後はこの30年程度ほとんど改善しておらず,分子病態の理解に基づく新規治療の開発が望まれる.多数例に対するゲノム解析により,骨肉腫には治療標的となりうるドライバー変異が少ないことが報告されている.一方で,TP53の変異などに起因すると考えられる構造変化やコピー数変化が多い腫瘍であることも知られている.これらのコピー数変化により腫瘍細胞の生存・増殖に関与するとされる遺伝子群の増幅が一定の頻度でみられ,その阻害薬が潜在的な治療薬の候補と考えられる.また,遺伝子発現解析による腫瘍の性質に関する研究,とくに予後不良例で特徴的な遺伝子発現状況を捉えることで治療応用につなげる試みも行われている.当研究室では,複数の発現データセットをもとに予後不良群の同定と新規治療標的の抽出を行った.今後,臨床応用に向けてさらなる検討が必要である.
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