Japanese
English
TOPICS 腎臓内科学
生体内ATPイメージングを用いた急性腎障害の予後予測
Prediction of acute kidney injury prognosis by intravital ATP imaging
高橋 昌宏
1
,
柳田 素子
1
Masahiro TAKAHASHI
1
,
Motoko YANAGITA
1
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科
pp.880-881
発行日 2021年11月27日
Published Date 2021/11/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27909880
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尿細管障害とエネルギー代謝異常
近位尿細管は溶質の再吸収,尿pHの調整,糖新生といった多彩な機能を賄うために多量のアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)を必要とする.近位尿細管は解糖系酵素に乏しく1),ATP産生をミトコンドリアでの酸化的リン酸化に依存するため,虚血などの低酸素状態ではATPの消費と産生のバランスが崩れ近位尿細管障害が生じる.近年,腎障害の急性期に,近位尿細管において解糖系が活性化する代謝変化が生じ,この変化が不可逆の場合にはTGF-βの活性化を介して慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)へ進行することが報告された2).また,AMP-activation protein kinase(AMPK)はAMP/ATP比の変化に反応してエネルギー代謝の司令塔として機能するが,CKDではAMPK活性の抑制が腎障害増悪につながることや,AMPKのAMP/ATP比上昇への不応性が生じることが示された3,4).このように,ATPを中心としたエネルギー代謝の異常が腎障害の進展に重要な意味を持つことが明らかになった.
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