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特集 臓器移植――限界と挑戦
移植免疫から展開するがん免疫
-――血管内皮細胞の免疫学的特性の側面から
Immunological role of endothelial cells in immune tolerance in transplantation and immune evasion of cancer
尾上 隆司
1,2
,
田口 和浩
1,2
,
大段 秀樹
2
Takashi ONOE
1,2
,
Kazuhiro TAGUCHI
1,2
,
Hideki OHDAN
2
1国立病院機構呉医療センター中国がんセンター外科・臨床研究部
2広島大学大学院医系科学研究科消化器・移植外科
キーワード:
内皮細胞
,
免疫寛容
,
免疫逃避
Keyword:
内皮細胞
,
免疫寛容
,
免疫逃避
pp.699-706
発行日 2021年11月13日
Published Date 2021/11/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27907699
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移植医療において,非自己であるドナー臓器を認識し,これを排除しようとする本来の免疫反応である拒絶反応を抑えることは治療の中心であり,移植免疫研究はこの拒絶反応を抑制する機構を解明し,免疫寛容といわれるドナー抗原特異的免疫抑制を達成することを目的に発展してきた.免疫学の発展により,制御性T細胞(Treg)や骨髄由来抑制細胞(MDSC)といった免疫を抑制する細胞群やCTLA-4やPD-L1といった免疫抑制分子が発見され,それらが移植免疫において免疫寛容に重要な役割をもつことが明らかとなってきた.同時にこれらの免疫抑制機能はがんの免疫逃避機構に深く関与していることが明らかにされ,近年,これらをターゲットとした免疫療法は新たな治療法として臨床応用されている.このように,移植免疫研究とがん免疫研究はその目標は正反対であるが,基本的には表裏一体の同一のものであり,その知見は互いに応用可能なものである.本稿ではその一例として,移植免疫研究から発展した腫瘍血管内皮細胞(TEC)のがん免疫逃避機構への関与を示す筆者らの研究成果を紹介する.
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