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第1土曜特集 宇宙生命科学の進歩と医学応用への展望
医学応用と今後の展望
宇宙マウス実験からヒト健康・長寿研究への還元を目指して
Toward from space mouse experiments to human life science
鈴木 隆史
1
,
山本 雅之
1
Takafumi SUZUKI
1
,
Masayuki YAMAMOTO
1
1東北大学大学院医学系研究科医化学分野
キーワード:
宇宙ストレス
,
加齢
,
遺伝子改変マウス
,
NRF2
Keyword:
宇宙ストレス
,
加齢
,
遺伝子改変マウス
,
NRF2
pp.632-639
発行日 2021年11月6日
Published Date 2021/11/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27906632
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宇宙環境は生体の加齢変化を加速する.宇宙ストレスが生体に与える影響を明らかにし,それを防ぐ対策を生み出すことは,人類の宇宙進出を推進するだけでなく,地上における健康・長寿社会の実現に貢献するものと期待される.近年,宇宙向けマウス飼育装置(MHU)開発の成功により,国際宇宙ステーション(ISS)での長期飼育が可能になり,宇宙マウス実験の時代が到来した.筆者らは,酸化ストレス応答を制御する転写因子NRF2に注目し,世界初のNrf2ノックアウト(Nrf2-KO)マウスの宇宙滞在実験を行った.その結果,NRF2が宇宙環境における恒常性維持に重要であることを明らかにした.また詳細なメタボローム解析から,宇宙ストレスがマウスにヒト加齢と同様の血漿代謝物変化を引き起こすことを見出した.ヒト健康長寿研究へ有効利用するために,宇宙マウスの研究成果を公開するデータベースを作成した.今後,宇宙での知見が地上での研究に活用されることが期待される.
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