連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.22
単包虫症(診断は肝囊胞と思いますが,何となく違うような気もします)
大西 健児
1
Kenji OHNISHI
1
1鈴鹿医療科学大学看護学部看護学科
キーワード:
単包虫
,
単包条虫
,
包虫症
,
エキノコックス症
,
中間宿主
,
アルベンダゾール
Keyword:
単包虫
,
単包条虫
,
包虫症
,
エキノコックス症
,
中間宿主
,
アルベンダゾール
pp.297-302
発行日 2021年10月23日
Published Date 2021/10/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27904297
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Summary
単包虫症は単包条虫の幼虫である単包虫の感染症であるとされていたが,最近は,原因虫種について,遺伝子検査をもとにした新しい分類が普及しつつある.日本ではなじみの薄い疾患であるが,世界的には重要な人獣共通感染症である.自然界では,イヌ科(虫種によりネコ科)動物が終宿主,ヒツジ,ヤギ,ウシ,ラクダなどが中間宿主である.ヒトも中間宿主の立場にあり,人体内で成虫に発育することはない.ヒトを含めた中間宿主は幼虫内蔵卵の経口摂取で感染する.ヒトでは主に肝臓や肺に病巣が形成され,周囲組織を圧迫するように発育する.病巣の存在部位の確認には画像検査が有用で,診断手技の一部として血清の抗体検査が行われる.治療は病巣摘出術が一般的であるが,症例によってはpuncture-aspiration-injection-reaspiration(PAIR)が行われる.薬剤ではアルベンダゾールが使用される.
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