Japanese
English
臨床経験
胸椎包虫症の1例
A Case Report of Echinococcosis of Thoracic Vertebrae
相澤 利武
1
,
佐藤 光三
1
,
小池 正男
1
,
岩井 和夫
1
,
渡部 仁吉
1
,
佐藤 哲朗
1
,
若松 英吉
1
Toshitake Aizawa
1
1東北大学医学部整形外科教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Tohoku University School of Medicine
キーワード:
包虫症
,
echinococcosis
,
脊椎
,
spine
,
椎弓切除
,
laminectomy
,
病巣掻爬
,
curettage
,
メベンダゾール
,
mebendazole
Keyword:
包虫症
,
echinococcosis
,
脊椎
,
spine
,
椎弓切除
,
laminectomy
,
病巣掻爬
,
curettage
,
メベンダゾール
,
mebendazole
pp.1345-1348
発行日 1985年11月25日
Published Date 1985/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907302
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抄録:包虫症が胸椎に発生し両下肢不全麻痺をきたした1例を経験した.症例は47歳の女性で昭和50年肝包虫症による肝右葉切除の既往歴をもつ,昭和58年背部痛を主訴として来院.単純X線像ではTh9椎体の右後半部の骨破壊が認められ,断層像で椎体残存部の骨硬化像,CT像で傍脊椎軟部組織の腫大が認められた.転移性骨腫瘍,脊椎カリエス等も疑い精査したが確定診断は生検を行うまで困難であった.その後,脊髄症状が進行し両下肢不全麻痺,排尿障害が出現したため,椎弓切除,Harrington rodを用い後方固定,前方より病巣掻爬,骨移植を行った.術後麻痺は改善し,rodの入れ換え,右第4肋骨病巣の切除のため再手術を行ったが,現在は病巣は鎮静化し日常生活に復帰している.化学療法としてmebendazoleの投与を行い現在も継続中である.脊椎包虫症による麻痺に対しては病巣切除,椎弓切除による除圧,instrumentationによる早急な脊柱支持性の確立は有効な治療法と考える.
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