連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.20
有鉤囊虫(皮下のしこりが増えて,便に虫がでてきました)
小林 謙一郎
1
Ken-ichiro KOBAYASHI
1
1日本赤十字社和歌山医療センター感染症内科部兼第一救急部
キーワード:
有鉤条虫
,
有鉤囊虫
,
Neurocysticercosis(NCC)
Keyword:
有鉤条虫
,
有鉤囊虫
,
Neurocysticercosis(NCC)
pp.157-163
発行日 2021年10月9日
Published Date 2021/10/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27902157
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Summary
有鉤条虫はヒトのみを固有宿主とし,アジアやアフリカ,中南米に広く分布する.中間宿主はブタであり,ヒトは生あるいは不十分な加熱の豚肉を食べて感染する(有鉤条虫症).虫卵の摂取や成虫が腸管に寄生している場合,脳や眼などに囊虫を形成する(有鉤囊虫症).臨床的に問題となるのは,脳実質など中枢神経に寄生するNeurocysticercosis(NCC)である.流行地域ではNCCが成人発症の痙攣の主な原因である.NCCの治療は,囊虫の寄生部位,ステージ,寄生数などによって異なるが,抗寄生虫薬,副腎皮質ステロイド,抗痙攣薬を使用する.
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