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第1土曜特集 自殺の予防と危機・救急対応――新たな局面を迎えた日本の自殺対策にどう対応するか
危機・救急対応の現状
受診前相談における自殺が切迫した事例への対応
Risk assessment and interventions with potentially suicidal cases in psychiatric prehospital care
関口 隆一
1
Ryuichi SEKIGUCHI
1
1埼玉県立精神保健福祉センターセンター長
キーワード:
精神科救急医療システム
,
受診前相談
,
トリアージ
,
危機介入
,
自殺予防対策
Keyword:
精神科救急医療システム
,
受診前相談
,
トリアージ
,
危機介入
,
自殺予防対策
pp.72-78
発行日 2021年10月2日
Published Date 2021/10/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2790172
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本稿では,精神科マクロ救急システムの窓口である “受診前相談” へ寄せられる希死念慮を認めた電話相談の概況や,自殺が切迫した事例への介入の実際などを埼玉県精神科救急情報センターでの経験をもとに紹介する.2019年度に受け付けた9,683件のうち277件(2.9%)の相談対象者に希死念慮を認め,うち22件に救急受診を調整した.希死念慮がある本人自身からの相談は199/277件と多かったものの受診調整に至ったものは2/22件であった.自殺を予告する電話に際しては,受診前相談に求められる迅速なトリアージを意識しつつ,丁寧な自殺意思修正をはかりながら自殺切迫度を評価し,高リスク事例には躊躇なく警察などへの支援要請を行っている.2010年度からの10年間に経験した自殺切迫事例は169件で,同期間の全相談84,517件の0.20%であった.実件数こそ多くはないものの,この間の推移からは徐々に増加しているようにみえる.自殺が切迫した事例のサイン発出を受け止めて危機介入をはかることも受診前相談の機能のひとつである.
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