Japanese
English
第1土曜特集 自殺の予防と危機・救急対応――新たな局面を迎えた日本の自殺対策にどう対応するか
自殺予防研究の動向
コロナ禍における自殺の動向と対策
Recent tendency of suicide in Japan and suicide prevention measures under the influence of COVID-19 pandemic
衞藤 暢明
1
,
川嵜 弘詔
1
Nobuaki ETO
1
,
Hiroaki KAWASAKI
1
1福岡大学医学部精神医学教室
キーワード:
自殺予防
,
自殺未遂者
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
救急医療
Keyword:
自殺予防
,
自殺未遂者
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
救急医療
pp.18-23
発行日 2021年10月2日
Published Date 2021/10/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2790118
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴い,わが国の自殺者数の推移は,2020年において10月にピークを示すという例年にない変化を示した.COVID-19の出現により,救急医療の体制は大きく変わり,COVID-19の増加は,救急医療機関における自殺未遂者受け入れの制限と治療的介入を困難にした可能性がある.COVID-19によりもたらされた社会的な変化は大規模自然災害との共通点があり,それによって自殺者の抑制を示しているのかもしれないが,長期的な影響が持続している点において違いがあるともいえる.今後の自殺者の増加に対して警戒が必要な状況である.COVID-19の出口戦略において,とくにCOVID-19出現後に新たに認められるようになった感染症との関連,若年者への対策,社会資源の減少と機能低下,経済的要因について注目することが,これからの自殺予防において手がかりとなると考えている.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.