連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.18
“古くて新しい” 住血吸虫症
王寺 幸輝
1
,
吉川 正英
1
Yukiteru OUJI
1
,
Masahide YOSHIKAWA
1
1奈良県立医科大学 病原体・感染防御医学
キーワード:
住血吸虫
,
虫卵検査
,
輸入感染症
,
人獣共通感染症
Keyword:
住血吸虫
,
虫卵検査
,
輸入感染症
,
人獣共通感染症
pp.1055-1059
発行日 2021年9月18日
Published Date 2021/9/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu278121055
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Summary
◎かつて日本の一部の地域(山梨県甲府盆地,広島県旧神辺町周辺,筑後川流域など)で流行した日本住血吸虫症は,中間宿主ミヤイリガイの撲滅施策(殺貝剤散布や用水路のコンクリート化)や経皮感染防止策などを講じて克服することができた.しかし,アジア,アフリカ,中南米などを中心として,日本住血吸虫症,マンソン住血吸虫症,メコン住血吸虫症,ビルハルツ住血吸虫症などの感染者は今なお,多数存在している.人獣共通感染症である住血吸虫症は,劣悪な衛生環境,貧困といったさまざまな要因で撲滅を困難としているため,WHOは「顧みられない熱帯病(NTDs)」のひとつに掲げている.本稿では,ヒトに感染する住血吸虫症に焦点を当て,症状,治療,わが国および世界での状況や課題などについて概説する.
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