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第1土曜特集 痛み――慢性痛研究の最近の話題と将来展望
痛みの機序
慢性腰痛の発生機序,現在の診療指針,そして将来の治療戦略
Mechanisms, current treatment recommendations, and future therapeutic strategies of chronic low back pain
由留部 崇
1
Takashi YURUBE
1
1神戸大学大学院医学研究科整形外科学分野
キーワード:
慢性腰痛
,
椎間板変性
,
腰痛診療ガイドライン
,
ロコモティブシンドローム
,
脊椎
Keyword:
慢性腰痛
,
椎間板変性
,
腰痛診療ガイドライン
,
ロコモティブシンドローム
,
脊椎
pp.4-9
発行日 2021年7月3日
Published Date 2021/7/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu278014
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腰痛は世界的な健康問題であり,脊椎の椎間板変性はその主たる要因である.椎間板変性は若年期から進行し,退行性脊椎疾患の基盤となる.急速に進む高齢化に対してロコモティブシンドロームの普及と対策を行い,早期から介入することが望ましい.難治性の腰痛では,専門医による診察から症状の発生部位と原因疾患を特定し,侵害受容性疼痛である腰部の局所痛と神経障害性疼痛である坐骨神経痛の合併の有無を評価のうえ,発症時期から急性腰痛と慢性腰痛の区別を付け,『腰痛診療ガイドライン2019(改定第2版)』などの診療指針に基づいた治療を進めることが大切である.将来的には単なる症状緩和にとどまらない,椎間板細胞自身の清浄力・治癒力を高めることで組織の恒常性を維持して低侵襲に変性の進行防止と機能温存を可能にする,慢性腰痛ならびに退行性脊椎疾患への新たな細胞生物学的治療法の開発が急務である.
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