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第1土曜特集 痛み――慢性痛研究の最近の話題と将来展望
痛みの機序
変形性膝関節症の痛みの機序
Pain mechanism in knee osteoarthritis
阿漕 孝治
1
Koji ASO
1
1高知大学医学部整形外科
キーワード:
変形性膝関節症(膝OA)
,
痛み
,
軟骨下骨
,
滑膜炎
,
神経成長因子
Keyword:
変形性膝関節症(膝OA)
,
痛み
,
軟骨下骨
,
滑膜炎
,
神経成長因子
pp.11-15
発行日 2021年7月3日
Published Date 2021/7/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2780111
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変形性膝関節症(以下,膝OA)では,軟骨下骨と滑膜が重要な疼痛源となり,MRIで判別できる軟骨下骨の骨髄浮腫(BML)と滑膜炎・水腫が独立して痛みと関係している.軟骨下骨では膝OAの進行とともに,骨軟骨移行部の神経血管が通る孔であるosteochondral channelsが破骨細胞の働きによって軟骨に進入し,Channel内の神経成長因子(NGF)と感覚神経が増加する.滑膜では滑膜炎によって放出される炎症性サイトカインやNGFが増加する.これらの変化が侵害受容器の受容体や感覚神経のイオンチャネルの興奮性を亢進させることで膝OAの痛みが増悪する.また近年,抗NGF抗体製剤が膝OAに対して行われた臨床治験において高い鎮痛効果を認め,高い関心が寄せられている.抗NGF療法はOAによる感覚神経増生を直接抑制することで痛みを軽減させる可能性があり,今後の臨床での使用が期待されている.
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