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第5土曜特集 難治性免疫疾患――病態解明と新規治療戦略
疾患
全身性エリテマトーデスの病態と新規治療戦略
Pathogenesis and new therapeutic strategies in systemic lupus erythematosus
中山田 真吾
1
,
田中 良哉
1
Shingo NAKAYAMADA
1
,
Yoshiya TANAKA
1
1産業医科大学医学部第1内科学講座
キーワード:
全身性エリテマトーデス(SLE)
,
自己免疫疾患
,
獲得免疫
,
自然免疫
,
分子標的薬
Keyword:
全身性エリテマトーデス(SLE)
,
自己免疫疾患
,
獲得免疫
,
自然免疫
,
分子標的薬
pp.717-723
発行日 2021年5月29日
Published Date 2021/5/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27709717
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全身性エリテマトーデス(SLE)は,多彩な自己抗体の産生を背景に多臓器障害を特徴とする自己免疫疾患である.SLEの発症過程では,遺伝素因に環境因子を契機とするエピゲノム修飾が加わり,自己免疫寛容の破綻が生じる.SLEの免疫異常は,T細胞の過剰活性化と分化異常,制御性T(Treg)細胞の機能障害,B細胞の自己産生細胞への分化亢進などの獲得免疫系の異常に加え,免疫複合体を認識することによって形質細胞様樹状細胞(pDC)がⅠ型インターフェロン(IFN)を過剰産生するなどの自然免疫系の異常からなる多彩な病態で形成される.SLEの治療目標は再燃や臓器障害のない寛解とされ,薬物毒性を最小限にすることで臓器障害を回避する必要がある.現在,ステロイドなどの非特異的治療からの脱却を目指して,SLEの免疫異常を標的とする新たな分子標的薬の開発が進んでいる.今後,病態の不均一性(heterogeneity)に応じたprecision medicineの実践がSLE治療のパラダイムシフトに貢献するものと期待される.
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