今月の主題 21世紀に向けての寄生虫症
話題
赤痢アメーバ症―治療のいるものいらないもの
永倉 貢一
1
Koichi NAGAKURA
1
1東海大学医学部感染症学部門
キーワード:
赤痢アメーバ症
,
Entamoeba histolytica
,
Entamoeba dispar
Keyword:
赤痢アメーバ症
,
Entamoeba histolytica
,
Entamoeba dispar
pp.1633-1636
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904278
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1.はじめに
1999年4月1日より「感染症の予防及び感染症の患者の医療に関する法律」(以下,新法)が施行され,1897年に制定された伝染病予防法が性病予防法・エイズ予防法とともに廃止されて,呼び慣れた法定伝染病という言葉も消えた.これにより,わが国は事前対応型行政の構築,感染類型と医療体制の再整備,人権尊重に配慮した入院手続きを骨子とする感染症対策に臨むことになった.内務省令によって赤痢菌による赤痢と同列に患者の隔離治療・患者宅の消毒が義務づけられていた赤痢アメーバ症も,新法では第4類感染症に分類されて一般の医療機関での入院・治療が可能となった.今後,国や地方自治体は一般の医療機関から発生動向の提供(法12条による届け出)を受けて,本症のまん延防止のための基本計画や予防計画が策定され,調査体制の整備と確立が計られることになる.
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