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第1土曜特集 My Medicine(マイ・メディシン)――オルガノイド研究が拓く新しい医療のかたち
倫理上の課題
ヒトオルガノイド研究と社会との協働
Relationship between human organoid research and society
八代 嘉美
1
Yoshimi YASHIRO
1
1神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター
キーワード:
道徳的地位
,
責任ある研究・イノベーション(RRI)
,
患者市民参画(PPI)
Keyword:
道徳的地位
,
責任ある研究・イノベーション(RRI)
,
患者市民参画(PPI)
pp.668-672
発行日 2021年2月6日
Published Date 2021/2/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27606668
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近年,オルガノイドが大きな注目を集めている.武部は,その起源を細胞生物学の萌芽期にWilsonが報告したカイメンの細胞凝集に求めているが,事実 “形態形成” という生命誌における大きなトピックスは常に生命科学の進歩とともにある.すなわち,研究対象の中枢に置くか否かは別として,オルガノイドという概念は生命科学に携わる人間にとって常に関心事項であったことは間違いない.しかし,その注目が高まるようになった契機は,武部がオルガノイド3.0期と称する時期,すなわちヒトES細胞,iPS細胞といった多能性幹細胞の成立とその操作可能性を得られたこの20年のことであり,さらにこの数年は,その視線は加熱している.それは,生命科学研究者といった,科学的な見地からオルガノイドに関心を持つこれまでのプレイヤーだけでなく,倫理的・法的・社会的問題(ELSI)の観点からの新たな熱源が加わったことによる.では,その新たな視線のなかで,生命科学の現場は何を考え,どうするべきであろうか.本稿では,オルガノイド研究が基礎科学的にも実学的にも多くの実りを得るために,われわれが考えておくべきことを整理したい.
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