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TOPICS 免疫学
FROUNTは免疫チェックポイント阻害薬の障壁となるがん促進マクロファージを制御する
-――古い薬が新たながん免疫療法の扉を拓いた
FROUNT inhibitor disulfiram as a macrophage-targeting anti-cancer drug synergizing with immune-checkpoint blockade
寺島 裕也
1
,
遠田 悦子
1
Yuya TERASHIMA
1
,
Etsuko TODA
1
1東京理科大学生命医科学研究所炎症・免疫難病制御部門
pp.158-159
発行日 2021年1月9日
Published Date 2021/1/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27602158
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がん治療の壁:がん促進マクロファージ
がん部位に集積する免疫細胞の大半はマクロファージである.マクロファージは貪食,サイトカイン産生を介して生体防御・維持に働く免疫細胞である.しかし,がん組織においてはがんの悪性化を助長する性質へ分極化しており,このマクロファージが多いがん患者は術後の予後が不良で早期に再発する.近年,T細胞を再活性化するPD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害薬の登場により,生存期間の長期延長も可能になっているものの奏効率は決して高くはない.この不応答患者のがん部位にはがん促進マクロファージが大量に集積し治療抵抗性に関与することが見出されている.こうしたがん促進マクロファージの機能を調節する目的で,ケモカインやCSF1,CD47,PI3Kなどを創薬標的としたがん治療薬開発が世界中で長年進められてきた.しかし,薬効が不十分,強い副作用などの問題から,現時点で開発に成功したマクロファージ制御が可能ながん治療薬はない.
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