血液透析患者に生じ，アシクロビル脳症を発症した帯状疱疹

A case of herpes zoster complicated by acyclovir encephalopathy in a hemodialysis patient

・帯状疱疹の治療薬であるアシクロビル（ACV）の副作用として，ACV脳症がみられる．ACV脳症は，ACVにより惹起される精神神経症状であり，意識障害，幻覚などを認める．ACVは腎排泄型の薬剤であり，腎機能に応じた用量調製が重要である．自験例は血液透析（hemodialysis：HD）患者であり，より注意を要した．

・帯状疱疹経過中の意識障害の鑑別疾患として，ACV脳症，髄膜炎・脳炎，脳血管障害，低Na血症などが重要であり，これらの診断・治療にあたって脳神経内科や腎臓内科などとの連携が必要である．

・三叉神経第1枝領域の帯状疱疹で，鼻背部や鼻尖部に発疹があると高率に眼合併症を認め，「Hutchinson徴候」とされる．ときに視力障害や緑内障をきたし，まれに失明することもあるため要注意であり，眼科との連携が重要となる．

（「症例のポイント」より）