特集 脱毛症
Editor's eye
斉藤 隆三
pp.871-871
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002619
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脱毛症は存在していた毛髪が脱落するという数の減少をみる状態であるが,男性型脱毛症のように軟毛化するために全体的に薄くなった状態になる場合も脱毛症といっている.さらに毛髪の質の異常により髪がもろくなって長く伸びないといった先天性の疾患もある.今回,遺伝性毛髪疾患については下村裕先生に書いていただいた.
数の減少による脱毛症では,ある部位のみに発症する限局性のものと,全体的に抜け落ちるというびまん性の脱毛がある.局所的な感染症,腫瘍,外傷など原因が明らかなもの,びまん性脱毛症では感染症,栄養障害,内分泌異常,膠原病,消化管疾患などの全身性疾患に伴うもの,薬剤,化学物質などの影響によるものもあり,個々の症例にあたって検索する必要がある.本誌に掲載された症例から脱毛をきたした背景などを参考にしていただきたい.しかし,もっとも多くみられる円形脱毛症は本邦の皮膚科外来では3~5%を占めるといわれるほどのありふれた疾患であるが,その原因は不明といわざるをえないので,治療に苦慮することになる.円形脱毛症の病態・治療についての最近の情報を早川怜那先生,大山学先生に総説的に紹介していただいた.また,治療に関する論文も取り上げた.
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