特集 好中球が関与する皮膚病
Editor's eye
山本 俊幸
pp.389-389
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002480
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今月号は,抗TNF製剤が最近本邦において保険適用となった2つの疾患,化膿性汗腺炎と壊疽性膿皮症に焦点をあて「展望」や「Topics」「統計」で,その病態,遺伝的素因,併存症,QOLなどの側面から執筆いただいた.
また,周辺疾患も取り上げている.これだけ集中的に論文を読むと,好中球性皮膚症の最近の考え方や病態の理解が深まると思われる.化膿性汗腺炎は昔からよくみる疾患で,本邦では臀部慢性膿皮症と呼ばれていたが,瘻孔や瘢痕形成が進むと(Hurley stage 3),よい治療がなく難渋した.抗TNF製剤をうまく取り入れた治療の工夫が期待される.化膿性汗腺炎に近い疾患に,毛包閉塞性疾患のtriad(hidradenitis suppurativa, acne conglobata, dissecting cellulitis of the scalp)やtetrad(triadにpilonidal sinusが加わったもの)があり,これらの病態やTNF阻害剤に対する効果も知りたいところである.化膿性汗腺炎の病態は乾癬に似ていると最近の論文に書かれているが,実際に乾癬と化膿性汗腺炎を併発している患者をみることは(少なくとも本邦においては)少ない.
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