特集 血管性腫瘍
Editor's eye
浅井 俊弥
pp.287-287
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002452
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今回の特集は血管性腫瘍を取り上げた.脈管異常の分類はThe International Society for the Study of Vascular Anomalies(ISSVA)によって整理され,脈管系腫瘍(vascular tumors)と脈管奇形(vascular malformations)に大別された.一般の臨床医にもなじみのある苺状血管腫が偶然にも併用されたプロプラノロールの内服によって消失したことから,苺状血管腫は治療可能な血管の良性腫瘍という位置づけになり,多くの症例で投与されている.ISSVA分類には驚くほど多くの疾患が網羅されていて,その中には稀少疾患や難病に指定されている疾患が含まれているのだが,皮膚科の学会等で報告されている疾患には限りがある.また脈管奇形の多くは外科的治療や放射線科医によるintervensionが選択されていて,皮膚科が長く経過をみたり,治療に深くかかわることは少ないが,ISSVA分類を知ることも本号の目的の1つであると考えている.
読者には,まず,村上富美子先生の「Topics」を一読していただきたい.乳児の血管腫のうち,出生時にすでに病変が完成している先天性血管腫にはプロプラノロールが無効であり,乳児血管腫(かつての苺状血管腫)と鑑別が必要であることを知った.乳児血管腫に対するプロプラノロールによる治療を選択する基準や治療法の詳細や治療上注意すべき点については,本誌editorの馬場直子先生が「総説」で多くの臨床経験をまとめてくださった.
Copyright © 2021, KYOWA KIKAKU Ltd. All rights reserved.