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マスクや衣服の擦れによる皮膚の脆弱化~皮膚のバイオメカニクスと摩擦刺激によるひずみの積み残し~
菊地 謙次
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1東北大学大学院工学研究科/医工学研究科
pp.268-269
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002442
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前号では,摩擦刺激による角化細胞のひずみの蓄積について紹介し,皮膚バリア機能の脆弱化について述べた.本号では,皮膚のもつレオロジー(粘弾性)特性をよりリアリスティックな数理モデルを導入し,摩擦によって生じる皮膚の変形について考える.
皮膚を指で圧迫し,圧迫後の皮膚をつぶさに観察すると表面の凹みは徐々に回復する.マスクや衣服による表面の凹凸構造によって角質層表面に摩擦刺激が作用したときの皮膚の変形について,弾性(バネ)と粘性(ダンパー)を並列に接続したケルビン・フォークト(K-V)モデルを採用し,皮膚の変形についての力学的解析により皮膚刺激周波数(1秒間あたりの刺激回数),刺激荷重(刺激中における垂直方向の負荷)と脆弱化(経表皮水分蒸散量や外部曝露量の増加)との関係について紐解いていく(詳細はKikuchi K, et al:Int J Pharm, 2020 https://doi.org/10.1016/j.ijpharm.2020.119708 を参照のこと).
(「摩擦刺激と変形に関する皮膚バイオメカニクス」より)
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