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マスクや衣服の擦れによる皮膚の脆弱化~摩擦刺激と角化細胞の塑性変形~
菊地 謙次
1
1東北大学大学院工学研究科/医工学研究科
pp.172-173
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002415
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皮膚内部からの水分の蒸発を防ぐだけでなく,外部からの薬剤や細菌,ウイルスの浸透を防ぐ「皮膚バリア機能」は,皮膚の表面の角化細胞間を埋めるセラミドやコレステロール,脂肪酸などにより堅牢で緻密な物理的・化学的多層構造(ラメラ構造)によって形成されている.しかしながら皮膚損傷部(擦過傷や切傷,咬傷,刺傷,靴擦れなど)では,正常皮膚よりバリア機能は著しく低下し,病原菌やウイルスの感染リスクが高くなる.
昨今新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によりマスク装着が日常化し,マスク皮膚障害(皮膚病診療 Vol.42, No.12, p1127での漆畑修先生による解説記事参照のこと)が診療現場で数多く報告されている.そのためマスク着用における日常の皮膚のセルフケアは皮膚障害・経皮感染の観点から非常に重要である.それでは摩擦刺激による皮膚の物理的脆弱化についてはどのように理解されるべきであろうか? 本稿ではバイオメカニクス(生体力学)の観点から,見た目では擦傷とは判断が困難な摩擦刺激を受けた皮膚の皮膚のバリア機能の喪失(脆弱化)について2号にわたり解説したいと思う.
(「摩擦刺激による皮膚バリア機能の喪失(脆弱化)」より)
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