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特集 これだけは知っておきたい間葉系腫瘍
展望
皮膚血管肉腫治療の現状と今後の展望
Current therapy and future perspective of cutaneous angiosarcoma
藤澤 康弘
1
Yasuhiro Fujisawa
1
1筑波大学医学医療系皮膚科
1Department of Dermatology, University of Tsukuba
キーワード:
血管肉腫
,
治療
,
パクリタキセル
,
エリブリン
,
チェックポイント阻害薬
Keyword:
血管肉腫
,
治療
,
パクリタキセル
,
エリブリン
,
チェックポイント阻害薬
pp.388-393
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002017
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ひらがなの「がん」とは,われわれがよく耳にするいわゆる胃がん,肺がんなどの上皮系悪性腫瘍である「癌:carcinoma」,骨肉腫などの間葉系悪性腫瘍である「肉腫:sarcoma」,および白血病やリンパ腫などの血液系悪性腫瘍の総称であり,全国に16カ所ある「がんセンター」はそのいずれも扱うため「癌センター」ではなく「がん」という用語を使用している.しかし,それらは等しく発生するものではなく,圧倒的に「がん」が多い.アメリカのデータによると,2010~2014年までに集計された悪性腫瘍の中で肉腫全体の発生数は,上皮系から発生する癌の1%にすぎない.血管肉腫は脈管内皮細胞由来の非常にまれな肉腫で,その頻度は肉腫全体の数%程度とされているが1),わが国における正確な罹患率のデータはない.
血管肉腫は大学病院クラスでも年間数例といった悪性腫瘍であるため,これまでの報告はそのほとんどが症例報告か少数の症例集積研究である.したがって,胃がん,肺がんといったメジャーながんと比較して,多くの症例が必要な第III相ランダム化比較試験といったエビデンスレベルが高い研究がほとんどない.そのため,実際に患者を目の前にしたときどのように考えて治療を組み立てていけばよいのか,自信をもって提示することができない点が問題であり,現状では施設による治療選択のばらつきが大きい.本稿では,血管肉腫について(皮膚科領域なので皮膚血管肉腫を中心に)治療の現状と新しい治療の展望について解説したい.
(『1 背景情報』の「1.1 はじめに」より)
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