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リポフスチンはアポクリン汗囊腫の色調に関連する
北村 真也
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1北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室
キーワード:
リポフスチン
,
ヘモジデリン
,
メラニン
,
アポクリン汗囊腫
Keyword:
リポフスチン
,
ヘモジデリン
,
メラニン
,
アポクリン汗囊腫
pp.1098-1102
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000001247
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リポフスチン(lipofuscin)は生体内色素の1つで,別名消耗性色素あるいは老化色素ともいわれる黄褐色顆粒状の色素である.リポフスチンの本態は,ライソソームによって細胞内消化された異物の残余物質であり,生体内ではとくに神経細胞や心筋などに多く観察され,加齢とともに沈着の程度がよく相関することから,老化の形態学的指標の1つとされている.皮膚科領域では,深在性エリテマトーデスや薬剤性の色素沈着の一部で関与することが知られている.リポフスチンは,病理組織学的にはHematoxylin/Eosin(H-E)染色において,しばしばメラニンやヘモジデリンなどの生体内色素との区別がむずかしい.リポフスチンであることを証明するためには,Schmorl反応などを用いた特殊染色が必要である(図1,表1). アポクリン汗囊腫は,高齢者の顔面に好発するアポクリン汗腺由来の良性の囊腫であり,臨床的にはしばしば青色〜黒色調を呈する.アポクリン汗囊腫の色調に関しては,従来の報告ではチンダル現象(微小な粒子が分散している物質に光が入射すると,微小粒子によって光が散乱され,光の通路だけが濁ってみえる現象)などが関与していることが示唆されていたが,これまでに詳細に検討された報告はない.本縞では,色調の異なるアポクリン汗囊腫3症例について,リポフスチン顆粒の量を定量化し,臨床的な色調との関連性について検討した.その結果,リポフスチン顆粒の量が多いほど,臨床的に黒色調を呈す傾向を示した.文献的考察を加え,これらの知見について紹介する.(「はじめに」より)
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