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乾癬の病型は,尋常性乾癬(psoriasis vulgaris;PsV),関節症性乾癬(psoriasis arthritis;PsA),乾癬性紅皮症,滴状乾癬,膿疱性乾癬(generalized pustular psoriasis;GPP)の5つである.GPPは厚生労働省指定難病の1つである.急激な発熱,全身の倦怠感とともに全身の皮膚が潮紅し,無菌性膿疱が多発,融合して膿海を形成する.全身性炎症反応を伴う臨床検査異常を示し,全身性炎症反応症候群として捉えるべき病態である.ときに呼吸不全などの内臓病変を合併し死に至ることもある.誘発因子は上気道感染,抗菌薬などの薬剤,妊娠などである.従来,GPPの病因は不明であったが,近年筆者らにより,「PsVを伴わないGPPは大半がIL36RN遺伝子変異によるインターロイキン36受容体拮抗因子(IL-36Ra)機能欠損を背景とした疾患である」ことが,また,基本的には常染色体劣性遺伝型式を背景とするが,ときにはヘテロ接合体変異を背景としても発症することが解明された.つまり,膿疱性乾癬のなかにはインターロイキン36受容体拮抗因子欠損症(deficiency of interleukin-thirty six receptor antagonist;DITRA)という自己炎症性疾患が高頻度に含まれることが明らかになった.GPPの類縁疾患で,妊婦に発症する重症の膿疱症である,疱疹状膿痂疹(impetigo herpetiformis;IH)の大半の症例でもIL36RN遺伝子変異が病因であることが推測される.同様にGPPとの鑑別がときに困難である,重症薬疹の1つの病型である急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis; AGEP)の一部の症例にも,さらに再発性環状紅斑様乾癬(annular pustular psoriasis; APP)にも,IL36RN遺伝子変異があることがわかってきた.(「はじめに」より)
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